盆おどり

国外逃亡の前に、彼が時間を作ってくれた。


「何食べたい?」っていつも聞いてくれる。

私はお刺身とビールの気分だった。

彼は歩くdancyuみたい(笑)

食べたいものを言うと、それが美味しいお店に

連れて行ってくれる。


プラプラ歩いてると東京音頭が聴こえてきた。

私の大好きなやつ(≧∀≦)


「私、盆おどり大好きなの。行きたい!!」


耳をすませて、音の鳴るほうへ。

辿り着いたその場所は、大都会の夏祭り。


もう終わり近くて、2曲だけ踊った。

しかも初めて聴いた歌。

子供の頃から盆おどり大好き!

小さい頃は浴衣を着て、お立ち台で踊ってたし。


彼はニヤニヤしながら、私のカバンを持って、

踊る私の動画を撮ってた。

彼を振り返ると彼も私を見てて、

人がいっぱいなのに、二人の世界。

キュンとした。


夏祭りの色が好き。

浴衣と提灯と日焼けした子供たち。

不意の神様のギフトだった。


彼はまた新しい仕事を始めたらしい。

年始に話してくれた今年の目標を、

本当に次々に実現させている。

夢は語るものじゃなくて、叶えるもの。

なんかの歌にあったなぁ。


私は今のところ目標もないけど、

これからの私の人生に欲しいのは

達成感じゃなくて安心感。

こんなふわふわした素敵な夜がこれから先も

待っててほしい。


カウンターでお刺身食べてるとき、彼は

「わさびちゃんとつけたか?」とか

「しょうゆつけすぎだろ」とか

口うるさいお父さんみたい。


またたくさんお酒飲んで、私の送別会の話して、

お互いの両親の話をしてちょっとしんみり。


「くるりんの素直なところが好きだよ。

褒められたら素直に嬉しそうな顔するだろ。

お父さんとお母さんに大事にスクスク育てて

もらったってよくわかるよ。

お互い、親に感謝しような。」って。


彼は、車とか時計とか、高い買い物するとき

いつもお父さんの顔が浮かぶんだって。

まだ早いとか言うだろうなって思うって。

彼にも怖いモノがあるってカワイイ!!


駅の改札まで見送りにきてくれた彼に抱きついて、

「帰るのイヤ」って駄々こねた(笑)

だって離れたくなかったし、わがまま言うの

楽しいし、彼のお腹に抱きつくと安心する。


「自分が勝手に旅行行くんだろー」って

何度もギュウしてチュウして髪を撫でて、

「帰ってきたら、ビキニの跡見せてよ」

って耳の近くでボソっと言った。


もう最高。

思い切り泳いでくるよ。