逆流

彼は、私が彼を責めているって言ってた。
そんなつもりはなかったつもりだったけど、
なかったつもりのさらにもっと奥に、
やっぱり彼を責めてる気持ちを見つけてハッとした。


彼は人の気持ちにとても敏感だから、

ずっと、私のそういうのを感じてたかな。

だから私が下向くと、「何か怒ってる?」って

いつも聞いてたのかな。

私は彼のポーカーフェイスをそのまま信じちゃって、

でも本当は、気まずい思いしてたかな。


せっかくLive Aidを送ってくれた彼の勇気を
私は。
嬉しかったのに、また責めた。


ごめんね。


どす黒いものを吐き出して、嫌い合って、

お互いがお互いにつけた傷は、きっと傷のまま。


私は見せていい自分だけ見てもらいたかったけど。

見たい彼だけ見ようとしてたけど。


そんなの彼には通用しなかった。

彼っていったい何なの。

こんなにぶつかっていいの。

どうして。

私をどんどん裸にして、見せたくないのに、

私も見たくもない、ドロドロの嫌な私を。


最初は真っ白で、その後は真っ黒。


いつか太陰太極図にみたいに混ざり合って、
傷跡も、二人の味に。

白も黒も両方で、二人で一つのまんまるに。


ダーリン。




菅田将暉 『キスだけで feat. あいみょん』

Clarity

彼と仲直りの当日、さっそくあるコトを頼まれた。
もしかして、そのために仲直りするのかなって
チラっと思って、首を振った。


髪の毛のこと怒らず、
その上さらに彼のことを手伝ったら、
まるで彼とその女の人が会えるように、
私が応援するみたいで悔しくて、
「浮気してる人なんて知らないよ」って涙が出た。
彼は、「あー、ブスだな」って言いながら、
ティッシュで私の涙を拭いた。


でも今回はいったん、そういうの全部オフにして、
飄々として見えるけど、本当は不安だってあるはずの
彼の心が少しでも軽くなったらいいなと思ったから。
彼には、守らなきゃいけないものがあるから、
それを彼がちゃんと守れるように、
私は協力しようと、自分で決めた。


もしも彼の本心が、冒頭のようなズルいものだったと
しても、今回は、それでいいやって。


それで、また別の日の電話で彼に、
「もう仕事は手伝わない」ってはっきり言った。
彼は怒るかも、私がもう役に立たないと分かれば、
面倒くさいし、もういらないって思うかな、
それならそれで、仕方ない。


そしたら、彼は「わかった」ってあっさりと。
お互い面倒なことになるから、そのほうがいいなって。


あれ?
やっぱり、私の考えすぎだったって、
彼は、ちゃんと私とやり直そうと思ったんだって
嬉しかった。


だけど、また。


私が勝手に妄想しない方法で、
何とかできないかって言った。
彼は、色々とうやむやにしておけば、
私が彼を好きだから、
結局やるって思ったかな。


彼はヒリヒリ痛い。