父のこと

昨年、父を亡くしました。

68歳でした。


彼と付き合うことになるちょうど1年前に

父の病気が見つかりました。


私は昔から父親が大好きで、反抗期でさえ

父には懐いていました。

子供の頃の写真も、父に抱っこされてるのが

とても多い。


全然ちゃんと受け止められず、父の病気の事は

親友にさえ話せないままでした。

泣いてばかりの母には「泣かないで」って

一緒に泣くことしかできず。

もっと優しくしてあげれば良かったのに。


私はずっと、父を頼っていたせいで、

父があと数年でいなくなったら、

大地震も子供の反抗期も仕事のトラブルも

電気製品の故障も、私一人では乗り越えること

はできないよって毎日不安を見つけては嘆いて

いました。


そんな時、とても堂々として、

背も父と同じくらい高くて、しゅっとした難しい顔も

何だか父と似てる気がする彼と出会いました。

話せば話すほど、考え方やセリフまで父に似てる彼を

いつからか父みたいに思うところもあり。


付き合ってしばらくは彼にも父の事を言えなかった。


でも、なぜか聞いてほしいと思うようになって

初めて話した時の彼の反応は、

「そうか。まだ若いな。」だったと思います。


それから彼は、まだ父が元気な時から常に、

「今すぐ伝えたいこと全部言っとけ。

ありがとうも出し惜しみするな。

くるりんはお父さんのおかげで立派な大人に

なったって、ちゃんとお父さんを安心させろ。

また今度、は無いかもしれないぞ。」

って耳が痛くなるほど言ってくれていました。


私は、「照れるし、お別れでもないのに、

まだいいよー。」って言ってたけど、

会うたび、

「伝えたか?話したか?」ってしつこくて、

まるで父がすぐ死ぬみたいでイヤとも思いつつ、

私も細々伝えるようになりました。


そしたら彼の言う通り、お別れは突然来ました。

そして彼のアドバイスを実践していた私は、

有り難いことに、父の今際の際のとき、

言いたいことを全部伝えたなって思えたのです。


まだ父が元気な頃から、彼は父が亡くなった後

の二人の事も考えてくれていました。

「四十九日の間は会わない。ちゃんとお父さん

とお別れしろ。お別れまで長い時間かけて

覚悟させて貰えたことに感謝して、喪に服せ。

大丈夫、忘れないし、別れないから。」と。


本当にその間は、一度心配して顔を見に来てくれた

だけで、結局2ヶ月以上会わず、電話もせずに

過ごしました。


通常営業に戻ってしばらくして、このブログを

始めたワケですが。


今も時々考えます。

父は、彼との事を何て言うだろうか。

天国から溜息混じりに見てるだろうか。


出会うタイミングを間違えちゃったけど、

私は彼を大好きです。

娘を守るオトコがもう一人増えたって、

それは多いほうが安心だって、

前向きに検討してもらえたら嬉しいな。


「調子いいヤツだな」

そう言う父の、困ったような、呆れたような

いつもの顔を思い出してしまいました。