Nicolaschka

くるりん

「自分のことで精一杯になってしまって、

全然気が回らなくて、ごめんね」


お鮨屋さんのカウンターで、

左側にいる彼に、小さな声で伝えた。

お世話になったお礼と、ごめんなさいの会。


彼は、私はいまさら変わらないって。

もう会いたくないって言われてるのかと、

心臓がギュッとした。


けど彼は、変わらなくていいって言う。

もう少し、気を使えたらいいけど、

そのままでもいいって。

あんなに長い間一緒にいれば、

そりゃ何かあるだろって、どこ吹く風で。


目の前にはホクホクした秋刀魚の初物。

その苦味は、まるで彼の葛藤みたい。

何年か前、「俺が大人になるしかないか」って

何度も何度も呟いてた彼を思い出す。


響ボトルは透明なガラスの面積が大きくなって、

今日で空っぽにするみたい。

味の分からないやつには勿体ないって言いながら、

私にもグラスを寄越してくれて、少しだけ。


こんな風に言葉とは全然違う優しい行動が、

本当にお父さんに似てる。


隣同士並んで座れて嬉しい。

知らない人の話し声に邪魔されず、

彼の声が耳元で聞こえる。

すぐ横に彼がいて、すごく嬉しい。


その日の彼は、次の日に大仕事があって、

これから新幹線だし、解散かと思いきや、

バーに寄ってくれた。

彼はマスターと「今日もやりますか?」って

強いお酒をクイっと飲むの。

たまらないんだって。

私は知らないほうがいいって、

マスターと彼は二ヤリとしてた。


今日はタクシーに一緒に乗せてもらった。

二人ともけっこう酔っ払っていて、

タクシーを降りた後、彼が私をぎゅうっとして

たくさんキスをしてくれた。

「大好き」って言ったら、

俺も大好き」って、キャーーー(≧∀≦)


酔っ払いの彼ってほんとに最高。

家に着いた後、再び「大好き」って送った。

返事は、微妙な顔のスタンプのみ。


ほらね(笑)

ちょっと酔いが醒めたらスンってなる。

気持ち良すぎる

くるりん

彼は過酷な一日を終えて、例のやつが発動。

「イテテテテ・・・」

そんな状態なのに、運転してくれるって。


彼が運転してるときの手が好き。

見とれていたかったけど、ナビを注視。

道に迷ってはいけない。

これ以上、彼に迷惑をかけられない。


今日のお宿はご飯が美味しいと評判の。

ご飯も楽しみだし、静かな部屋も楽しみ。

彼とすごく長い時間を過ごしたとはいえ、

実は二人っきりは少ないのだ。


お部屋は階段を上った2階。

彼は「最後のお務めだ」ってまた大げさに(笑)

けどほんとにお務めだった。

股関節に衝撃波。

彼なんて、「うううー」とかって断末魔のやつ。


広いお部屋に二人きり。

清潔なシーツに、人がいない静けさ。

これこれこれこれこれ。これが欲しかったの。

けど、ぎゅうは控えたよ。

だって、2日間お風呂に入ってないもん。


お風呂で念入りに隅々まで洗ったの。

早くお湯に、フゥーってしたかったけども。

頭だって、3回もシャンプーした。

これこれ。気持ち良すぎるーーーー

彼は「長えなー」って、お風呂にゆらゆら。

この時のこと、今も思い出すと本当に幸せ。

やっとゲットしたほのぼの時間富豪。


夕食はお鍋がたくさん並んで、馬刺しもある。

彼はにんにくに躊躇してるの。

お風呂も入らず喧嘩までしたのにね(笑)


疲れてるはずなのに相変わらず眠れなくて、

温泉に4回も入ってしまった。

めっちゃ泉質の良い源泉で肌が超すべすべ。


私、いつも彼に触っていてほしい。

深い意味じゃなくて。

いや、深い意味も少し。

いつも彼に触っていたい。

一番好きなのはぎゅっと抱きしめてもらうこと。


笑って歌って怒られて泣いて喧嘩して、

色々あった長旅の終わり。


締まらんな(笑)