「自分のことで精一杯になってしまって、
全然気が回らなくて、ごめんね」
お鮨屋さんのカウンターで、
左側にいる彼に、小さな声で伝えた。
お世話になったお礼と、ごめんなさいの会。
彼は、私はいまさら変わらないって。
もう会いたくないって言われてるのかと、
心臓がギュッとした。
けど彼は、変わらなくていいって言う。
もう少し、気を使えたらいいけど、
そのままでもいいって。
あんなに長い間一緒にいれば、
そりゃ何かあるだろって、どこ吹く風で。
目の前にはホクホクした秋刀魚の初物。
その苦味は、まるで彼の葛藤みたい。
何年か前、「俺が大人になるしかないか」って
何度も何度も呟いてた彼を思い出す。
響ボトルは透明なガラスの面積が大きくなって、
今日で空っぽにするみたい。
味の分からないやつには勿体ないって言いながら、
私にもグラスを寄越してくれて、少しだけ。
こんな風に言葉とは全然違う優しい行動が、
本当にお父さんに似てる。
隣同士並んで座れて嬉しい。
知らない人の話し声に邪魔されず、
彼の声が耳元で聞こえる。
すぐ横に彼がいて、すごく嬉しい。
その日の彼は、次の日に大仕事があって、
これから新幹線だし、解散かと思いきや、
バーに寄ってくれた。
彼はマスターと「今日もやりますか?」って
強いお酒をクイっと飲むの。
たまらないんだって。
私は知らないほうがいいって、
マスターと彼は二ヤリとしてた。
今日はタクシーに一緒に乗せてもらった。
二人ともけっこう酔っ払っていて、
タクシーを降りた後、彼が私をぎゅうっとして
たくさんキスをしてくれた。
「大好き」って言ったら、
「俺も大好き」って、キャーーー(≧∀≦)
酔っ払いの彼ってほんとに最高。
家に着いた後、再び「大好き」って送った。
返事は、微妙な顔のスタンプのみ。
ほらね(笑)
ちょっと酔いが醒めたらスンってなる。