逆鱗

くるりん

ランチは大盛りカレーを二人でシェア。

ご飯がてんこ盛りすぎる。


心臓バクバクしながら歩いたせいか、

ここ1年で一番美味しいカレーだった。

大げさじゃなくて。


ずっと仕事漬けで、朝なのか夜なのか、

外出する時間も元気もないほどの

不規則で抑揚のない毎日を続けていた。


それが、朝から全身に日光を浴びて、

外の空気を吸って、息を吹き返した感じ。

身体中がフル回転で細胞が大喜びしている。

嬉しくて張り切ってモリモリ食べてた時。


「配分考えろよ。最後、米だけ残るだろ」


ギクリとした。

そうなの、カレー配分はいつも苦手科目。

いつもルーが先になくなるの。

今回は大盛りでさらに上手にできない。

お米だけどっさり余っている。


「もういい、米ばっかり俺はいらない。」


周りはみんな和気あいあいなランチタイム。

気まずい雰囲気で、空気が張りつめる…


カレーだけの問題じゃないんだよ。


歩くテンポが違いすぎて、彼を待たせてる。

彼がたくさん荷物を持ってくれてる。

道中のお水だって彼に飲ませてもらっている。


彼なら1日であっという間に済む行程を、

わざわざ泊まりがけで一緒に歩いてくれていて、

そのために、最終日の彼は超大変らしい。


いつものように彼一人で来てたなら、

もっとスイスイ、どんどん進める。

荷物だって一人分で身軽にいられる。


「今のくるりんと行ける山はない。」


悲しかったけど、その通りだって思った。