仁王様
彼はいよいよ怒り心頭だった。
彼は私のどうしようもないところを知っている。
おんぶにだっこなところ。他力本願なところ。
子供っぽいところ。独占欲が強いところ。
嘘つきなところ。わがままなところ。
マイペースなところ。気分屋なところ。
まだあるかな…
時々ちょっと会うだけの不倫の頃は、
いい顔だけで過ごせていたのかな。
彼は私の全部を受け入れてくれたかもしれない。
だけど私はできなかった。
ごめんね。
大好きだったから。
今も、思い出すのは優しい彼。
楽しく笑った夜。
目を開けると彼がいた朝。
たくさん二人で積み上げたもの、
たくさん二人で話したこと、
この前怒られたことだって。
これからは謙虚に。
それは彼からのプレゼント。
お父さんみたいに怒っていた。
そんなこと言ってくれるの、今はもう彼だけ。
ありがとう。