雨女



順番を飛ばしていた。

これが最後の日。


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最終日、彼が朝会議の間、爆買いしたくて、

シャキーンとベッドから抜け出した。


一人で初外出だから、迷いそうで心細い。

とは言え子供じゃないし、地図もある。

野生の勘を頼りに、目的地までダッシュ(雨だから)。

あっという間にカゴいっぱいのお買い物。

朝からシトシト雨が降っていて、とても肌寒い。

寝不足&朝会議の彼に、温かいコーヒーのお土産。


彼の顔をみてホッとしたのもつかの間、

「腹減った、何食べる?」って、また例の。

私のことを子供か?って言うけど、あなたです…


午後は美容デー。

ずっと前から彼が予約してくれていたところ。

まずはランチをしようと、慌ただしくタクシー。


雨はさらに強くなっていて、どしゃ降り。

タクシーが冷え冷えで、彼の手をホカロンに。


彼の、高校同窓会の準備の話も、

下級生に告白されてその子と付き合った話も、

私が彼と同じ高校生だったら、

1年生から付き合って卒業して、大学も、

社会人も、ずっと付き合って結婚する。


なんでこんなに彼がいいのか、わからない。

彼と一緒にいると、自分のことも大好きになる。

彼と一緒なら、何でもできるし、どこでも行ける。

そんな風に思うんだ。


ランチはサラリーマンの人でいっぱいだった。

石焼きビビンバを彼のと交換しながら完食。

ご馳走さまのあとで外に出ると、雨がやんでる。

このタイミングでどしゃ降りが止むって!!!

晴れ男と手を繋いで、最後の散歩。

何もいらないの。贅沢すぎる時間富豪。


それで、その後の治療は激痛だった。

私は涙がポロポロ出てドクターに笑われて、

隣で痛みに耐えてる彼の腹式呼吸も聞こえてきて、

泣きながら笑った。


痛いのも辛かったけど、その後は一日中、

ノーメイクで過ごさなくちゃダメなんだって。

最後に見せる顔がダウンタイム中のすっぴん(涙)

仕方なし。


さて、ご褒美は甘いケーキとコーヒー。

レジに立ってる彼を、目に焼き付ける。

心の中では、バイバイするのイヤイヤイヤ。


彼にケーキをあーんってした。

てんこ盛りに、次から次にどんどん詰め込む。


結婚式のファーストバイトみたい?って聞いたら、

それならでかい塊を思いきり詰め込むよって。


それを今してるのに、彼は気付いてないみたい(笑)


彼が塊を飲み込む前にもう次をスタンバイ。

彼がものすごーく甘い気持ちになりますように。


空港に行くタクシーには私だけが乗った。

最後にようやく、久しぶりの太陽と真っ青な空。


一人で乗った飛行機の窓から夕陽が差し込んでた。

寂しくなっちゃったから、小さな声で、

必勝マントラを呟く。


彼は私がいなくなってさみしいって言うけど、

私のほうがもっとさみしいもん。


こんなにたくさん一緒に過ごして、

楽しいことがたくさんあって、

明日からいつもの毎日に戻れるかしら。


ありがとう。