Full blooms

今日は晴天。
彼から見える空までずっと、
雲ひとつないまま、繋がってるといいな。


彼とお花見をしたのは、付き合って最初の春。
近所の公園まで歩いて、公園に向かう道も、
公園の中も、薄いピンクでいっぱいだった。


彼と出会う前の桜の頃に父の病気が発覚して、
来年の桜の頃、父はいないかもしれないって
思っていたその桜だったから。


しかもその日はエイプリルフールで、
彼は変なウソをついたんだった。
だから毎年エイプリルフールになると、
その日のことを思い出す。


まだ父が生きていて、好きな人と胸いっぱい
薄いピンクを吸い込んだ日。


次の年は、桜どころじゃなかった。
桜なんて、咲いてほしくなかった。
思いきり綺麗に咲いて、憎らしかった。
それからちょっとして、父とお別れが来た。


彼が、そうなる前に決めていてくれたこと。
「四九日が終わるまでは会わない。
絶対に別れないし、連絡も取れる。
でも会わないから、一人でしっかり向き合って
ちゃんとお父さんを送ってやれ」


そんな約束、人生で初めてだった。
父と別れるのも初めてだから、それはそうだけど。


でも、そうやって決めててくれたから、
私は彼に知らせてから、安心のまま一人で、
本当に穏やかに淡々と、
ちゃんとお別れできたんだと思う。
スゴ腕の守護神に守ってもらっている。
ありがとう。


そのまた次の桜は、彼の仕事がすごくて、
きっと彼も桜どころじゃなかったと思う。
付き合ってから、彼はどんどん忙しくなって
私は彼に構って欲しいから、本当は
ちょっとヒマになって欲しいと思ってる。


脳ミソの99%は仕事のこと考えてる彼。
もっと会いたい。
お腹に顔を埋めてモフモフしたい。
平日の午後に部屋を暗くして、ベッドに寝転んで
ドキュメンタル観て笑ったの、贅沢だったな。


今年の桜は、彼がいないから。
戻ってくる頃には葉っぱが出てるかな。


いつかまた、彼と薄ピンクの世界へ。
その時は、めちゃ笑って、
お腹痛くなっちゃうくらい。


ダーリン。
好きだよ。