ありがとう

待ち合わせした場所で、
前を歩いていた私の名前を彼が大声で呼んだ。
後ろ姿だけでよくわかったねって言ったら、
そりゃ、わかるだろって言っていた。
久しぶりに会った彼は、筋トレしたって、
腕がムキムキ。


待ち合わせが、そのお鮨屋さんで嬉しかった。
二人で初めてディナーしたところ。
彼はその日のこと、全然覚えてないみたい。
櫻井さんっていう変なタクシーのおじさんに
彼がお説教したのにね。
そこでまたこんな風に待ち合わせできたこと、
とっても嬉しかった。


彼は、別れたんじゃなくて、
ケンカしたつもりだったって。
「イライラしてごめんな」って。
彼は気位の高い王様なのに、
サッと行動して、サッとごめんって。
だけど、行動してくれるまでの間に、
本当はきっと葛藤だってしたと思う。
それを思って、すごく嬉しかった。


食後はフルーツとアイスを買ってもらって、
彼の部屋で食べようって。
別に初めてじゃないし、何度も行ったけど、
お鮨屋さんで解散のつもりだったから、緊張する。
タクシーで、彼は私の手をつないで、脚を触って、
私は、追いつかなくて、心臓が。


マンゴーがおいしくて、気持ちもフワッとした。
彼がマンゴーを上手に切ってくれたのが衝撃的。
お鮨にも、お酒にも、マンゴーにも、アイスにも
コーヒーにも、彼にも、助けてもらった。
緊張して、歯がカチカチなりそうだったから。


彼は、私が彼のことをお父さんみたいに
頼って甘えていたことを見抜いていた。
彼の言語化する能力はハンパなく、
私の気持ちを透かしている。


私は面倒くさくて子供っぽいのに、
本当に仲直りするの?って彼に聞いた。
そしたら、面倒くさすぎて白目になっちゃうけど、
仲直りするんだって(笑)


肩透かしみたいにフワッとするの、彼の得意技だ。
私は思い切り、シリアスだったけどね。


ありがとう。