お別れ

最後、ケンカ別れだった。
長い間付き合って、色々積み重ねた最後は、ケンカ。


でも、それで良かった。
もしロマンチックな別れだったら(どんな?)
きっと別れられない。
忘れられない。
だから、ケンカがぴったりだった。
そんな風にあっけなく、ばっさり終わるくらいが
悲しくて、ちょうどよかった。
勢いで言えて、ちょうどよかった。
忘れられなかったら、そのあと困るもん。


もう会わない、二度と連絡するなって
ばっさり言われて、ちょうどよかった。


最後まで助けなくて、ごめん。
途中で放り出して、ごめん。
彼なら大丈夫。
絶対大丈夫。


これ以上、争いたくなかった。
ごめん。
ダーリンのこと、大好きで憧れでした。
ありがとう。



仁王様

彼はいよいよ怒り心頭だった。


彼は私のどうしようもないところを知っている。
おんぶにだっこなところ。他力本願なところ。
子供っぽいところ。独占欲が強いところ。
嘘つきなところ。わがままなところ。
マイペースなところ。気分屋なところ。
まだあるかな…


時々ちょっと会うだけの不倫の頃は、
いい顔だけで過ごせていたのかな。
彼は私の全部を受け入れてくれたかもしれない。
だけど私はできなかった。
ごめんね。


大好きだったから。
今も、思い出すのは優しい彼。
楽しく笑った夜。
目を開けると彼がいた朝。


たくさん二人で積み上げたもの、
たくさん二人で話したこと、
この前怒られたことだって。


これからは謙虚に。
それは彼からのプレゼント。
お父さんみたいに怒っていた。
そんなこと言ってくれるの、今はもう彼だけ。
ありがとう。