バブル

ずーっと前、上司がリーマンショックについて
語っていたことがある。
実態のない価値がぐるぐると大きな渦になって、
どんどんそこに巻き込まれていったけど、
回転が止まって、渦の中心が見えるようになると
そこには何もなかった。


お酒をのみながら、彼の話を聞くのが大好き。
日々、彼は色々なことを考えまくっていて、
色んな可能性を探っていて、
いつもチャンスを狙っている。
お酒を飲んで、気が緩んで、話してくれることは、
その膨大な思考のかけら。


長い間付き合って、全然飽きずに、
いつまでも続いてほしいと願ったのは、
彼とお酒飲みながら、彼の話を聞く時間。
彼の膝の上で、抱きしめてもらう時間。


なかなか手放せなかった。
もっと大事にすれば良かった。


道を歩いていたって、
私の分まで車に気を付けて歩いてくれる。
私も傘を持ってたけど、
彼の大きな傘で歩く。


彼は、私の好きなところは
彼の本質を好きだというところって言ってた。
私が、彼の好きなところも同じ。


私は話すのが下手で、言葉で伝えられているのは
多分思っていることの10%くらい。
だけど、それでも彼は、私のつたない話から
その奥の私を見てくれていた。


回転が止まって、渦の中心を見る。
何もないこの恋で、残るもの。




Tsunami

緊急事態宣言が解除されて、一番嫌なことを
彼に白状した。


解除されたら、その人が彼に会う。
解除されたら、その人がハートの目で彼を見る。


その人は気配り上手で、みんなに感じよくて、
人付き合いが上手なんだって。
私にはできないことができるんだって。
元カノのことも、そんな風に言っていて、
そのたびに私はヤキモチ焼いた。


「私と付き合うなら、私だけと付き合ってほしい」


彼は自分以外にコントロールされるのが大嫌い。
自分で考えて行動して山ほど成し遂げてる人が
そういうの、すごく腹立つんだと思う。
彼が自分で選択して行動するのがいいんだよね。
そういう、曹操みたいなところも好きだった。


ずっと、伝えたかったけど、
これを言ったら終わりになりそうで、
怖くて言えないままだった。
そんなことを怖がるほど、失いたくないって、
思った人。